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2022.4.4
交通事故の届け出種類はどちらがいいか?①
後遺障害異議申し立て専門、行政書士の春野です。
季節はすっかり春めいてきました。本日も、大阪の多くの地域では、満開の桜がみられます。
コロナによる「まん延防止措置」も解除され、お花見や行楽に向かう車両がとても多くなってきました。
こうなると、残念ながら増加してしまうのが交通事故です。
今日は警察への交通事故の届け出の種類について書いてみたいと思います。2種類あります。
①物件事故(物損事故)と②人身事故、ですね。
このどちらで届けをするべきかというのは、交通事故の被害者になった方から非常に多くいただく質問です。
物件事故(物損事故)
物が破損する事故で、物損事故ですね。交通事故によるケガ人がいない場合、こちらの届けになります。
事故の届けでがあったということは、何かしらの物が傷ついたり、壊れたりしているわけですから、どの事故も物損事故であるということができます。
警察に事故の報告で電話をすると、自動的に物損事故からスタートするということですね。
人身事故
人身事故は、車両などのモノが壊れるだけでなく、事故に巻き込まれた人がケガをした事故ということになります。
もう少し正確に言えば、「ケガをした人が、事故後に病院に行って、その病院で、警察提出用の診断書を作成してもらい、警察に提出した」という事実がある事故、です。
まず、多くの方が「ケガをして治療を受けたから人身事故扱いだ」と考えられるようです。しかし、これは誤解です。治療受けたということだけでは不十分で、そこで「診断書」を書いてもらい警察の担当者に提出する、ここまでいってようやく人身事故届けが完了です。
逆に言えば、事故でケガをした方が、物損事故の届けのままでありながら、治療を受けるということも可能です。
人身事故にするかどうかを決定することができるのは、警察ではありません。その事故で負傷された方本人です。ですから、警察にケガがあったということを伝えるだけでは、人身事故扱いにはなりません。実際に相談にこられる被害者さんで、このように考えておられた方は多いです。
では、人身事故の届け出はしなくてもいいのでしょうか?
複数の側面から考えてみましょう。
自賠責からみたらどっちがいい?
自賠責の規定は、明確です。自賠責に請求したいなら、「人身事故」の届け出をするべきであるとされています。
ケガがあった事故であることの証明という意味をもつ警察への届け出ですから、ある意味当然です。物損事故は、「モノが壊れた」ということの証明にしかなりえません。
しかし、人身事故の届け出をしないなら支払えない、というような厳しいルールではないので、実際には打撲や捻挫の被害者さんの場合、物損事故のままであっても対応・支払は行われます。
任意保険からみたらどっちがいい?
任意保険は、被害者に支払った治療費等を、最後は自賠責に請求しますので、任意保険も自賠責のルールに縛られます。ですので、原則として、担当者は被害者に対して人身事故の届け出をするように案内はします。
しかし、この原則はあまり守られていないのが現状です。実務上は、打撲や捻挫などの比較的軽いケガの場合、「どちらでもいいです」「別にわざわざ届けなくともお支払いします」と回答している担当者が多いです。
なぜかといえば、前述のように、自賠責のこの届出ルール自体が努力義務として扱われているからです。人身事故じゃなくても通常自賠責は支払うんですね。そして、もう一つ理由があります。その任意保険の契約者である加害者さんに、人身事故の届けをしないよう被害者の方にはたらきかけてほしい、とお願いされるから、というのもあります。
交通事故の加害者でありながら、そんなことをあからさまに被害者にお願いすることはできないので、さきほどの「どっちでもいいですよ」のような回答になることが多いと思われます。
後遺障害異議申し立て手続き専門 春野行政書士事務所