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2022.8.28

自賠責保険金額が2倍に!?共同不法行為とは

共同不法行為とは、加害者が複数存在しているケースです。

交通事故の世界でも、しばしば生じます。

例えば、右折車と直進車が衝突したとき、その衝撃があまりに大きく、その現場の脇を歩いていた歩行者にも被害を与える場合、などが考えられます。

この場合、この歩行者に対する加害行為を行ったのは、2名いるということで、共同不法行為になります。しかしこのようなケースはあまり多くないです。

最もポピュラーな事故の共同不法行為は、「同乗者」がケガをした場合、です。

先程の例でいえば、右折車もしくは直進車に、運転手だけでなく同乗者もいた場合ですね。

なぜ、それが共同不法行為となるのでしょうか?

右折車と直進車については、基本的な責任割合が、8:2程度とされています。つまり、事故を引き起こした原因は、どちらの運転手にもある、ということです。

仮に直進車に、同乗者が乗車していたとしましょう。この同乗者のケガの原因を作ったのは、たしかに8割は、右折してきた運転手にありますが、その原因は100%ではなく、80%になります。

では、残りの2割は誰の責任か?

そうです、同乗していた車の運転手です。それが、仲の良いお友達なら、そんな責任追及なんてするつもりはないかもしれません。でも、法律的には、その人からもケガをさせられたことになります。

損害賠償の金額が、総額100万円になったとすると、8対2の割合で、両方の運転者が負担しあうことになります。

自賠責保険の共同不法行為は?

さて、共同不法行為の交通事故が起こった場合、自賠責保険の扱いはどうなるのでしょうか?

実は、自賠責保険が2つ、使えることになります。相手車両の自賠責保険は、もちろん、同乗していた車両の自賠責保険も適用されます(例外はあります)。

これは、保険金額の限度額が2倍になることを意味します。

傷害部分の限度額は、被害者一人につき120万円。それが120万円×2台=240万円まで、
そして、
後遺障害部分の限度額も、同様に2倍になります。

後遺障害部分は、等級により違いがありますが、14級でしたら75万円が限度額なので、2倍の150万円に、12級であれば224×2倍で、448万円になります。

限度額が一気に、倍になる。

しかも、責任割合に応じて減額されることもありません。つまり、右折車の自賠責を8割使用・同乗の車の自賠責を2割使用、ということではなく、丸々全額使用できます。

共同不法行為が成立するときの自賠責保険利用のインパクトは非常に大きいといえます。

共同不法行為が成立するときの自賠責保険

前回のブログで、後遺障害の逸失利益について書きました。

逸失利益は、年収が減少する期間(労働能力喪失期間)を何年と計算するか、というところが、非常に大きなポイントになります。

14級であれば、3から5年が目安とされています。

しかし、自賠責保険の計算上は、そのような限度は設けず、一律、67歳までの年数を計算することになっています。

仮に、30歳の被害者が後遺障害に認定されると、あくまで計算上ですが、37年間の逸失利益が計算されることになります。

この計算でいくと、共同不法行為が成立しないケースでは、自賠責の限度額にすぐに達してしまうわけですが、自賠責が複数使える場合は、結果が大きく異なります。

今回のケースでは、加害車両が2台のケースを考えましたが、3台、4台と増えれば(ケースとしては少ないですが)、自賠責の後遺障害逸失利益の枠は、それに応じて増加する、ということになります。

後遺障害の被害者にとっては、かなりプラスの結果になるといえる。これが、共同不法行為が成立するときの、自賠責保険です。

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