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春野行政書士事務所の
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2022.4.8

あおり運転に自動車保険は使えるか?

後遺障害異議申立て専門事務所、行政書士の春野です。

先日、またもや交通事故にまつわる痛ましい事件が報道されました。
大阪の堺市で、車を運転する男が、バイクの運転手に対してあおり運転をした上で、その命を奪ってしまったというものです。

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確か数年前にも、同じような事故が起こりましたが、全く同じ堺市の同じ道路(通称、泉北1号線)で、起こりました。

悲惨であるとしかいいようがありませんが、この加害者(殺人未遂犯)には、一生かけて罪を償っていただきたいと思います。

本題です。加害者の過失(うっかりミス)による事故に対しては、自賠責や任意保険が適用されることは言うまでもありませんが、あおり運転(故意)による事故に対しては、どうなのでしょうか?

自賠責・任意保険は、「故意」の事故には原則的に支払えない


表題が答えですが、

【自賠責も任意保険も、原則の考え方としては、支払わない】

です。故意に事故を起こした人(契約者)に対しては、一般的に支払わないです

まず自賠責については、自賠法第14条に次の定めがあります。
「保険会社は、(中略)保険契約者又は被保険者の悪意に生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる」

とあります。つまり、払わないということですね。しかし続く第16条4項には次のような規定もあります。

「保険会社は、保険契約者又は被保険者の悪意によって損害が生じた場合において、(中略)被害者に対して損害賠償額の支払いをしたときは、その支払った金額について、政府に対して補償を求めることができる」

つまり、原則、故意の事故に対して支払わないが、被害者からの請求に応じる可能性もある、ということです。自賠責は、特に「未必の故意(生じうる結果について、十分認識していない状態。ついカッとなってやってしまったが、そんな大きなケガをするかどうかなど考えていなかった、等)」については、支払う可能性が高いです。

続いて、任意保険会社の対応です。

こちらも基本は支払わないです。
というのも、もし故意に事故を起こしたとしても保険が支払えるとなると、車両保険に入っている人が、わざと自分の車を壁にぶつけて車両保険金を請求したり、さらにはそのことでケガをしたことにして治療にかかった費用を、人身傷害保険特約に請求できることとなります。
故意でも支払う、となると、保険金詐欺がオーケーになってしまいます。だから、あり得ません。

しかし、そうなると、被害者やそのご遺族はたまったものではありません…。そのため、こういった限界事例のときは、任意保険も個別判断をせまられるようです。最高裁の判例では、いくら故意が免責と約款上規定されていても、被害者の命を奪う程度のものであったときには、被保険者(加害者)の故意の”レベル”を十分検討せずに、支払わないとすることまではできないとしています。

故意のレベルとはどういうことかと申しますと…

先程も触れた「未必の故意」という状態があります。

これは、「この危険な運転が、〇〇の結果になることもいとわない」「そうなる可能性については理解しているが、それでも別に構わない」という考えがあって、行為に及ぶことを指します。人の命を奪うという明確な意思まではない場合とも言えます。仮にこの事故の運転手が、未必の故意であれば、これを保険金を支払わないとする理由としての「故意」とするかどうかは、なかなか判断が難しいのではないかと考えられます。

つまるところ、保険会社も、加害者の内心に迫っていかなければならない、ということですね。

一般的に、保険会社にとって、いくら支払うかという金額の多寡の問題より、そもそも保険金が支払えるか支払えないのか、の判断をするにあたっては、細心の注意が必要とされています

本当は支払えるものを支払わない、というのは保険金不払いにつながるためです。保険金不払いは、公共的な性格が強い損害保険の世界において、絶対にやってはいけないことです。


大きく報道されたこのケースで、この加害者が自賠責保険に加入していたとすると、裁判記録を含む詳細な情報収集と調査を行い、決定することになりますが、事件の大きさ(死亡事故)から、また被害者救済の観点から、自賠責保険が支払う可能性は十分あるかと思います。
任意保険会社としては、おそらく自賠責保険が支払うかどうかを確認した上で、確定的な故意だったかそうでなかったかを判断していくことになるはずですが、免責になる故意のレベルは高いですので、こちらも支払う可能性のほうが高いと考えられます。



やはり頼みの綱は、人身傷害補償特約

原則はダメ、でも特殊な場合では支払われることもあるでしょう。支払われるためには、相当の時間が必要で、保険会社が支払わない決定でもしようものなら、法律的に戦う必要も出てくるため、その労力たるや計り知れません。

では、この被害者の方、そしてご遺族の方が、スムーズに民事的な賠償を受けることはできないでしょうか?

一番良いのは、人身傷害保険に加入しておくこと、でしょう。

人身傷害補償保険特約とは、自動車事故に関して発生するありとあらゆる負傷に対して給付を行う、守備範囲の広い特約です。もちろん故意はだめ、というのは前述の通りですが、ことにこの堺の事故の被害者さんが自ら招いた結果ではないですから、損害賠償にあたる金銭がこの保険によって補償されるはずです。

人身傷害補償保険は、特にケガと隣合わせのバイクを運転される方には、必須の特約ということができます。

対人保険、対物保険、そしてこの人身傷害補償特約に加入しているかどうか、すぐにでもご自身の保険証券をご確認いただければと思います。

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