春野行政書士事務所の
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2022.3.14
後遺障害として認定される確率?
後遺障害異議申し立て手続き専門事務所、行政書士の春野です。
今日は、後遺障害に認定される可能性について、書いてみます。
このページにたどり着いてくださった方なら、可能性や確率は気になるところだと思います。しかし、いきなりこの質問の答えからは離れてしまうようですが、そのようなものは存在しません。
存在するのは、個々の被害者の方が認定されるか否かしかありません。当たり前と言えば当たり前です…
しかし、それでは話が終わってしまいますので、ここでは公開されているデータから、感じることを書いていきたいと思います。
損害保険料率算出機構の公表データ
損害保険に関するあらゆるデータを収集分析している、損害保険料率算出機構(自賠責調査事務所)が公表している資料はいくつも存在します。
その中で「自動車保険の概況」(毎年4月ごろに公表)に、後遺障害に関するデータがあります。
- 本日時点では、2020年公表の2019年データが最新です。
2019年 | 2018年 | 2017年 | 2016年 | 2015年 | |
後遺障害の支払件数 | 48,158 | 49,566 | 51,319 | 55,911 | 59,077 |
傷害の支払件数 | 1,069,866 | 1,150,112 | 1,190,099 | 1,209,075 | 1,230,710 |
後遺障害に認定される方は、減少傾向がありますが、毎年概ね5万人程度です。
傷害(入通院)の件数も減少傾向が続いていますが、毎年100万人程度となります。
後遺障害の申請がある方は、その前段階として、必ず傷害の請求もしているので、入通院される被害者数の全体からすれば、その内およそ4%程度の方が、毎年後遺障害の認定を受けているということになります。
これだけみれば、とても低いですね。
実際はもう少し高いと推測できます。というのも、実際の傷害件数と後遺障害認定件数は公表されていますが、後遺障害の申請件数は公表されていないから、です。
実際の申請件数はどのくらいでしょうか?
正確なデータはありませんが、お怪我の中でも最も数の多い、打撲や捻挫(むち打ちなど)を例にとって、試算してみます。
医学的な統計データでは、打撲や捻挫の被害者の内、約30%強の方の治療が長期化し、症状が遷延化すると言われています。この数字は、損保会社で人身査定担当だった私の経験からも、信頼できる数字かと思います。
となりますと、毎年お怪我をされる100万人の内、実際の後遺障害の申請をする方は、30万件強となります。
ここで、認定率です。
仮に30万件であれば、16,6%、40万件であれば12,5%程度、となりますね。
つまり、後遺障害の申請をして、認定されるのは、約1割!!です。先程、4%よりは高くなると書きましたが、結局10%程度なのです。
なかなか厳しい狭き門だ、ということがわかります。
しかも、ここでは前提条件として、打撲や捻挫を例にとりましたが、後遺障害の中には、醜状障害などの明らかな後遺障害もあり、その数もここに含まれていることを考えれば、むち打ちなどの❝目に見えにくい❞後遺症のうち、後遺障害に認定されるのは、1割に満たない可能性もあります。
9割以上の被害者の方は、症状が残ったにもかかわらず、後遺障害として公に認められない。そこにひもづく、適正な賠償も受けることができない。
これが、交通事故後遺障害の厳しい現実なのです。
交通事故後遺障害異議申し立て専門事務所 春野行政書士事務所