春野行政書士事務所の
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2022.3.18
任意保険による一括払いとは?
後遺障害異議申し立て専門事務所、行政書士の春野です。
交通事故でケガをした場合、その賠償をしてくれる保険が、2種類あることを説明させていただきました。
そこで、ここでは、任意保険による一括払いについて書きます。
読んで字の如し、ではありますが、
「任意保険が自賠責保険分も一括して、払っておく制度」
です。
任意保険は、自賠責保険の支払い限度額が、傷害部分であれば120万円という限度額を超えたときにはじめて対応する(支払ってくれる)ものです。順番でいえば、自賠責保険から先に使用される、ということになります。自賠責保険の限度額を超えるものが、あれば、ようやく任意保険の出番、というのが本来の形です。
でも、実際に交通事故でおケガをされた方なら経験されたように、そんなことをした覚えはない、というのが普通でしょう。でも、そんな意識をしたことがない方でも、自賠責への請求はきっちりされています。それは、任意保険を通じてした、からです。
交通事故の被害者になれば、自賠責を意識せずとも、最初から任意保険が全部仮に支払う、そういうシステムが、一般的でして、これを一括払い制度と言います。
なぜこのようなシステムかといいますと、交通事故の被害者になったとき、自賠責保険にまず請求し、その後任意保険に請求する、というシステムが、被害者に負担を与えるからです。
自賠責保険の手続きを、自分でしたことがあるという経験をされた方なら理解していただけると思いますが、とにかく「面倒くさい」です。普段ほとんど目にするような書類を、自賠責保険を請求するために、自分で収集しなければなりません。
一つの例として、自賠責書式による「診断書」や「診療報酬明細書」(どんな書式でもいいというわけではありません)という書類がありますが、これはどのように取り付けるかと言えば、まず被害者本人が病院の窓口で、治療費を立て替えます(一般的に社会保険を使用しない自由診療ですので、目が飛び出るほど高額です)。そして、その後例えば一ヶ月毎に、先程の書類の作成依頼を病院にします。書類が完成すれば、また立て替え。その上で、ようやく自賠責に請求をかけるための一つの書類が準備できたことになります。
でも、これはあくまで治療費だけの話です。これだけでも面倒であるのに、それ以外にも、請求するための基本的な書類が結構あるんです。
ただでさえ、ケガをして、仕事を休んで、病院に行って…、と大変なのに、その書類作成するための負担たるや結構なものです。
そこで、被害者の利便に資するために考えられたのが、「一括払い」なのです。
自賠責の請求に不慣れな被害者に代わって、任意保険が自賠責の手続きを全部まるっと、処理してくれるのです。必要な事務処理、書類の収集、支払い処理を全部代わりにやってくれるんですね。
でもそれはあくまで立て替え払いにすぎません。任意保険は、ある一定のタイミングで自分たち任意保険が立て替えたものをすべて自賠責保険に請求し、回収します。
ここまで来ておわかりいただいたと思いますが、被害者の方は、いわば自らは自賠責保険に請求することなく、任意保険を通じてそうしたことになります。
次回はこれが被害者にとって良いことなのか、悪いことなのか、そのあたりを書いてみたいと思います。
後遺障害異議申し立て手続き 春野行政書士事務所