春野行政書士事務所の
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2023.2.22
因果関係がないとされた後遺障害の異議申立
自賠責保険の後遺障害認定手続きにおいて、交通事故と後遺障害の因果関係は、通常の通院より厳しくみられます。
【事故直後に生じた痛みや不具合】
のみが、審査対象となります。加えて、その事実が、カルテや診断書に記載されていることも必要です。
いつまでを「直後」とするかについては、正確なデータはありませんが、約1週間と考えておおよそ間違っていないかと思われます。
では、残念ながら、この時期を過ぎてしまった後に出た(確認された)症状が、後遺症として残り、さらに、審査の結果、「非該当」とされた場合、その結果に対して異議申立てすることはできるのでしょうか?
因果関係の立証はハードルが高い
自賠責保険の異議申立ては「再申請」を指します。
この再申請に回数制限は定められておらず、望めば何度でも不服を申し立てることができます。
とはいえ、新たな証拠資料を出す必要がありますので、実務上は何度もできるわけではありません。
さて、後遺障害が交通事故との因果関係がないとされたときは、自賠責保険から次のような理由書が発行されます。
◯◯の傷病名が初めて認められるのは、〇〇病院の診断書上であり、その治療開始日は本件事故からおよそ14日を経過した◯月◯日と記載されていることから、本件事故との相当因果関係は認め難く…、後遺障害には該当しません。
このような書類を交付された方は愕然とされることでしょう。
では、再度申請するためには、どうしたらいいでしょうか?
答えは、この例からいいますと、「14日以内に症状がでていたこと」を何らかの資料で立証する必要がある、ということです。
想像していただけるかと思いますが、これが非常に難しいのです。
病院のカルテなどにその訴えの記載があれば、可能性は出てくるかもしれませんが、そもそもそのような記録がないために、レントゲンもとらず、傷病名にもならなかったと考えられるからです。
専門家に依頼しても、難易度は依然高い…
行政書士や弁護士などの交通事故専門家に依頼するのは、治療が終わりかけ、とか終わってから、というケースが多いと思います。
この時点で、初診が遅くなったことがわかったといえ、事故との関係性をあとから整理するということはとても難易度が高い、いや、ほぼ不可能だといえます。
後遺障害として申請する以上、ずっとその症状に悩まされきたわけですから、被害者本人としても「事故との関係がないなんて、あり得ない」と思われるのは当然なのですが、それが現実です。
交通事故にかかる治療はとにかく、初診が重要な理由がご理解いただけかと思います。
春野行政書士事務所