春野行政書士事務所の
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2022.8.21
自賠責保険の逸失利益
後遺障害の逸失利益の話を前回しました。
逸失利益とは、「後遺障害を負うことによって、仕事の能力が下がる→年収が下がる→それを埋め合わせるもの」、という意味合いでした。
後遺障害の中でも最も多いのは、ムチウチなどの神経症状(痛みやしびれ)ですが、これらについては、年収に影響を及ぼすことは少ないですが、これも基準の数字を使って、一定の賠償は行うものです。
では、今回は自賠責での逸失利益がどうなっているかを考えます。
とはいっても、複雑な話ではありません。
自賠責であっても、逸失利益の考え方自体が変わるわけではないからです。
逸失利益のおさらいです。
年収×○%(後遺障害の等級によって決まることが多い)×影響が続く年数(中間利息は控除される)
です。
影響が続く年数ですが、例えばムチウチで14級であれば、3年、いくら長くみても5年と言われます。
しかし!
自賠責は、等級に応じて「影響が続く年数」を変えることはしないのです。
つまり…
自賠責では、14級であろうが、13級であろうが、67歳まで働ける年齢を基準に計算してくれます。
つまり30歳の方がムチウチ14級で認定を受けると、自賠責の計算上は、37年「影響が続く」ということになります。現実には、3から5年とされているにもかかわらず、そうなります。
であれば、自賠責が一番いいじゃないか、と思われるかもしれませんが、自賠責には、限度額が存在していることは、このブログでも何度もお伝えしている通りです。
14級→75万円
13級→139万円
12級→224万円 (いずれも逸失利益+後遺障害慰謝料の限度額になります)
というふうに、等級に応じて、限度額が決まっています。
いつでも67歳になるまでの逸失利益が計算されるといっても、この限度額に先に到達してしまうので、それ以上支払われることはない、ということになります。
別の言い方をすると、自賠責の後遺障害は、ほとんどの場合、14級なら75万円、13級なら139万円というように、「定額」になってしまう、と思っていただいて間違いありません。
次回は、この自賠責の基準が被害者にとって非常に有利に働く、「共同不法行為」の場合の、自賠責の支払いについて考えます。
後遺障害異議申し立て 春野行政書士事務所