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2022.8.18

後遺障害の逸失利益

逸失利益…。

日常生活で使用することは、まずないワードです(笑)

これは、法律の世界の専門用語ですので、別に知らなくとも、生きていけます。

でも、後遺障害が残るようなおケガをされた方にとっては、非常に大切な考え方なので、ここで噛み砕いて説明いたします。

そもそもの意味

逸失利益、の言葉の意味は、こうなっています。

逸失利益(いっしつりえき、: Lost profit)は、本来得られるべきであるにもかかわらず、債務不履行不法行為が生じたことによって得られなくなった利益を指す。得べかりし利益(うべかりしりえき)とも言われる。

Wikipedia

意味を調べたら、より難しくなる、というのは、法律の世界のあるある、です。

交通事故を例にとって、考えましょう。

交通事故で、重度の後遺障害を負ってしまわれた被害者の方がおられます。この方は、建設作業員としてバリバリ働いておられました。そんなある日、交通事故に遭いました。その結果、悲しいことに、頸髄を損傷し、首から下をほぼ全く動かせなくなってしまいました。47才でした。

この方の、損害賠償を考える上で、逸失利益が出てきます。

つまり、

「この被害者の方が、もし事故にあわなかったら、本来のお仕事をそのままできて、お金を稼ぐことができたはずだけど、事故でそうできなくなってしまったのだから、その分は補償しなければならないよね」

という考え方。これが、逸失利益です。

つまり、”失われてしまった経済的な利益”ということです。



では、逸失利益はどのように計算されるか?

なんとなくのイメージを理解していただいたところで、それをどのように計算するかということを考えてみます。

ケガ(後遺障害の等級)の程度にも大きく左右されますが、基本的には次の通りです。

年収の減収分の金額×(67才-後遺障害が残ったときのご年齢)

となります。

先程の例でいきます。建設作業に従事されていた方が、お仕事が全くできなくなったという例ですが、この場合、年収は100%減ったと考えることができますので、事故前の年収分×(67-47年)分、つまり20年分賠償される、という結論になります。

では、なぜ67才という数字を使うのか。

これは、一般的にお仕事をできる年齢はこのくらいという基準が設定されている、ということにほかなりません。いわゆる、定年のイメージを持ってください。

ムチウチでの後遺障害ならどうなるの?

頚部痛、腰部痛のようなムチウチでも、後遺障害として認定されうるということは、ご存知のかたも多いと思います。

では、この方の逸失利益はどうなるのでしょうか?

というのも、ムチウチで後遺障害といっても、仕事が全くできなくなったわけではない、という方がほとんどだからです。むしろ、年収が減少することもない方のケースのほうが多いでしょう。

こういった場合には、基準となる数字(フィクションの数字)を使用します。

事故前の年収をそのまま使用するのではなく、その影響の部分を数値化します。
○%の影響がある、とし、この○に数字を当てはめます。

ムチウチの場合ですと、5%程度の年収へのマイナス影響は出るだろう、と仮定して、計算します。

年収300万円の方であれば、マイナスの影響は5%の15万円、といった具合です。

異論はあるでしょう。しかし、「実際に年収が減少していなくても、基本的には請求できる」のが逸失利益です。実際に、ムチウチの後遺症で年収が減らない方のケースのほうが多いことを考えると、理解はしやすいかもしれませんね。

「でも、67才までになるまで、計算してもらえるなら、かなりの金額になる。補償は十分かな」と思われた方。

鋭いですが、そうはいきません。

後遺障害とはいっても、ケガの程度に応じて、その影響は限定されます。

つまり、後遺障害とは「一生治りきることはないケガ。その症状とずっと付き合わないといけないケガ」という意味合いがありますが、逸失利益の考え方では、そこまでの影響が出ているわけではない、と考えられています。

尚、このムチウチの例でいきますと、マイナスの影響が出るのは、あくまで3年~5年、とされています。後遺障害として認められても、それほどの大きなケガでもないんだし3から5年で治りますよ、と言われている感じです。

ちょっと厳しいですね…。

影響がある期間についても、そのままの年数を掛けるのではなく、ライプニッツ係数と使って…というところまでいくと、複雑になるので、また別の機会に触れます。

逸失利益まとめ

逸失利益。

言葉からは、難しいイメージが先行しますが、要するに、後遺障害で奪われた仕事の能力を、金銭的に補償するための計算ということです。

当然、年収が高い方は、逸失利益は増えますし、大きなおケガをされた方もそうです。

このあたりの計算については、プロの弁護士さんにご相談されることをおすすめします。

信頼できる弁護士さんを紹介してほしい、そんなお声にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

次回は、自賠責の逸失利益に限定して、お話します。


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