春野行政書士事務所の
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2022.4.2
むち打ちで後遺障害?
後遺障害異議申し立て専門、行政書士の春野です。
交通事故で最も多いケガは、打撲ないし捻挫です。
スポーツをするとき、手首や足首を捻挫することがよくあります。ことに、交通事故に関して言えば、最も多いのが、首や腰の捻挫です。
なぜか。それは、交通事故の形態として最も多いのが、停車中に後続車から追突されるもの、だからです。
この首や腰の打撲捻挫に関し、医師が使用する傷病名としては、「頚椎捻挫」「腰椎捻挫」「外傷性頸部症候群」などです。
もっと日常的な言葉でいうと、「むち打ち」ですね。
首や腰に急激な力が加わって、あたかもムチを打ってしなる状態になり、骨以外の柔らかい体の組織を痛めることです。
果たして、このケガで後遺障害として認められることはあるのでしょうか?
答えは、あります。認定されることがあります。
データからわかること
そのことがわかる資料がこちらです。
これは、損害保険料率算出機構(後遺障害の審査をする機関)が公表している、後遺障害の等級別認定件数の全国データ(2019年データ。本日時点で公表されている最新版)になります。
ここで、等級別認定件数や全体の構成比を知ることができます。
まず一番右の合計をみれば、1年で5万人強の被害者が後遺障害として認められたことがわかります。
等級というのは、1級が一番重たい症状で、数字が上がるにつれて軽い級、となっています。1級にあてはまるのは、常時介護が必要となるような重症の方です。
そして、14級が「むち打ち」でも、認定されうる級、となります。14級の中でも厳密にはいくつか種類があるのですが、そのうち14級の9号というものが定められており、「局部に神経症状を残すもの」と定義されています。
2019年では、14級の30,675件のうち、そのほとんどが、首や腰も含む打撲や捻挫、です。
ですので、むち打ちが後遺障害として認められることがあるか、という問いに対しての回答は「ある」となります。
12級? 14級
むち打ちでは、12級として認定されることもあるということをご存知の方もいらっしゃいます。
この12級の中にも、色々と細かい種類分けがあるわけですが、12級の13号として「局部に頑固な神経症状を残すもの」というものがあり、これが、むち打ちでも認定されうる級になります。
では、14級と12級は何が違うのでしょうか?
14級9号 「局部に神経症状を残すもの」
12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
言葉としての違いは「頑固な」があるかないか、しかありません。
であれば、自分の症状は頑固なものだから、12級だと思われるかもしれませんが、この両者ははっきり区別されています。
14級9号:痛みやしびれの原因が、医学的にはっきりとはしないが、推測はできるもの
12級13号:痛みやしびれの原因が、医学的にはっきり説明できるもの
となります。
医学的にはっきり説明できるとは、レントゲンやMRIの画像、そして、医師が実施する神経症状の各種テストで異常がでていて、ご本人の症状とそれら検査結果がぴったり一致するものを指します。
そのため、実際にむち打ちの被害者の方で、12級13号に認定される方は、本当に少ないです。ほとんどの方の症状が、「医学的に症状の説明ができる」とまでは言えないのです。
当事務所にも、14級にすでに認定されている方が、ご自身の症状は12級ではないか、とのことで異議申し立ての相談に来られるお客様がいらっしゃいます。上記を詳しくご説明差し上げた上で、受任させていただくこともありますが、実際にむち打ちで14級から12級になる方は多くはない、というのが実情です。
むち打ちであれば、基本的には14級に当てはまる可能性があり、稀に12級もある、とご理解いただければと思います。
後遺障害異議申し立て専門事務所 春野行政書士事務所