春野行政書士事務所の
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2022.10.1
一括払い対応がされないケース
後遺障害異議申し立て事務所の春野です。
今回は、任意保険による一括払いがされないケースを2つあげたいと思います。
加害者が任意保険を使用しない場合
任意保険に加入しているにも関わらず、任意保険を使用する意思を示さない加害者はまれにいます。理由は様々ですが、すでに同じ保険期間に他の事故で何度も請求している、とか、来年度の保険料があがるのを避けたいとかが考えられます。
実際に加入しているのであれば、なぜ使用しないのかと不思議に思いますが、まあ、いろんな考えの方がおられるものです。
責任割合が五分五分以上の場合
任意保険会社同士の暗黙のルールがあります。
それは、自社の契約者側に50%以上の責任があるだろうことが予想される場合に、一括払い対応をするということです。
なぜこのような運用になっているかと言えば、50%以上の責任がある場合には、大きなケガではなければ自賠責保険の支払限度額を超えるような支払い、つまり任意保険が支払う保険金が発生しないことが予想されるから、です。
例で考えてみましょう。
自賠責の傷害保険金(入通院にかかる支払い)の限度額は、120万円となっています。仮に、被害者に50%の責任があるとするならば、任意保険が一括払いしたとして、支払全体が240万円を超えなければ(240万×50%=120万円)、任意保険からの支払いはない、ということになります。
そこで、そもそも任意保険が支払うものがなさそう、となった場合、一括払い対応をしない、という判断を、任意保険はすることになります。
保険の対応は、支払うものが全くないことが予想される場合、被害者対応をしないということです。
しかし、この理屈でいくと、軽い追突事故の被害者が、ほんのちょっとケガをしただけで、あくまで検査のためだけに病院に通うケースを、どうして任意保険は対応するのか、という疑問が湧きます。
というのも、単に1,2度病院に行くくらいのケースなんて、自賠責の支払い限度額を超えることは、なかなか考えられないですから。
これは、任意保険業界の暗黙のルールととらえていただいて問題ないかと思います。
先程書いたように、被害者の責任が50%以上かどうか、というところがあくまで、一括払い対応をするかどうかの判断基準になっています。
そんな場合は、人身傷害補償保険の対応になる
加害者側の任意保険の対応がされない場合は、どうなるか?
対応しないといっているものを、対応するようにいったとしてもあまり意味はないです。本気でそうするためには、加害者を相手取って裁判を起こす以外にありませんが、現実的ではないですね。
そういうときのために、人身傷害補償保険が存在します。
被害者が加入している自動車保険に「人身傷害補償保険」が付保されているかどうかを確認します。最近では、この保険がかなりのパーセンテージで、加入されているようです。つけていても、保険料も高くありません。
これは、相手側の自動車にケガをさせられた場合など、自動車の運行にかかわるありとあらゆるケガを補償してくれるものになります。
相手の任意保険会社が、何らかの理由で一括払い対応をしてくれないときにも、自分が入っている保険が、いわば加害者の代わりに、被害者のケガの対応をしてくれるという大きな味方の保険です。
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