春野行政書士事務所の
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2022.3.19
任意保険による一括払いのメリット・デメリット
後遺障害異議申し立て専門、行政書士の春野です。
前回の続きですが、任意保険による一括払いのメリット・デメリットについて触れます。
一括払いのメリット
○ 被害者が、自賠責保険に請求してから、任意保険に請求するという2重の手間を省くことができます。
○ 自賠責保険への請求は書類作業他、とにかく面倒です。書類を集めるだけでも一苦労ですが、これを任意保険がすべて代行してくれます。
○ 自賠責は、原則として、先に支払ったものに対してしか請求できません。被害者が治療費を病院に一旦全額支払ってから、初めてその治療費を請求できる、ということです。一括払いがあれば、病院への支払いは、任意保険が立て替えて支払ってくれます。
と、なると、メリットばかりじゃないか、と思われるかもしれませんが、そうでもないのです。
一括払いのデメリット
○ 任意保険にすべてお任せするということは、何が自賠責で支払われ、何が任意保険で支払われたのか、非常にわかりにくくなることを意味します。
○ 似たような論点ですが、自賠責で支払われる可能性があるものであっても、任意保険の判断で、支払わない(支払えない)と勝手に判断されることがあります。
結局、どちらを選んだらいいですか?
一括払いの制度は広く浸透しています。交通事故の被害者になると、任意保険が全部責任を負って、対応してくれるものと考えるのが普通です。そもそも、任意保険の対人賠償保険は、万が一被害者にケガを負わせた場合、加害者本人の賠償責任を果たすことが目的なので、当然です。
ですので、一括払いをするか、自賠責に請求してから任意保険に請求するか、ではなく、一括払いの1択、といって良いでしょう。
しかし、私が任意保険会社に勤務していたときも、行政書士となった今も強く思うことは、不幸にも交通事故で被害者になってしまった方は、少なくとも…
「一括払いが何であるかを理解し、任意保険会社の言っていることをすべて鵜呑みにしない」ということを、忘れないようにしていただきたいです。
実は、任意保険会社には、初めて被害者の対応をするとき、一括払いがどんな制度かを説明する義務があります。でも実務上は、そんな説明はしない担当者が99%です。
なぜなら、被害者は、やれ自賠責だやれ任意保険だの違いなんて興味はなく、この面倒な状況をなんとかしてほしい、とにかく治療費を、休業損害を支払ってほしい、の一心だからです。
でも、だからといって、任意保険会社にすべてをお任せしていると、後々損をしてしまったり、任意保険の会社にいわれるがままになってしまったりすることもあります。
最低でも、一括払いについて理解しているだけでも、結果は全く異なると思います。
後遺障害異議申し立て專門事務所 春野行政書士事務所