春野行政書士事務所の
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2022.11.23
自賠責保険の付添看護費用
被害者が入通院することで、被害者以外のご家族にも大きな負担がかかります。
被害者の身の回りのお世話を家族がしなければならないこともあるからです。
自賠責保険では次のように決まっています。
入院(専門職の方に頼んだ場合) | 入院(家族などの近親者) | 通院 |
実費全額 | 4200円/一日 | 2100円/一日 |
しかしながら、どんなケースであっても誰かが付き添っていれば、請求できるというものではありません。
大きくわけて2つのケースがあります。
○ 高次脳機能障害などの重症者のケース
○ 小学生以下(12歳以下)の子供に親が付き添うケース
付添看護費用:重症者の場合
重症といっても、例えば、ある男性が大腿骨を骨折したため手術が必要なり、1週間入院を余儀なくされた、というようなケースでは、たとえその方の妻が毎日身の回りのお世話を毎日することになったとしても、付添看護料4,200円が支払われることは、基本、ありません。
骨折も「重症」ではありますが、入院を余儀なくされたという程度では、認定されません。
家族などの近親者が付き添う必要があったことが、客観的にみて妥当だと思われるほどの重症である事実が必要です。
前述したように、高次脳機能障害などの初期の入院などがこれにあたるかもしれません。
しかしながら、自賠責保険の支払実務において、重症者の付添看護費用が支払われる余地はあまりおおきくありません。
というのも、自賠責保険で支払えるのは、治療関係費用として120万円まで、という限度額がありますので、そのような重症者の場合、初期の入院治療の費用だけで120万円がすべてなくなってしまうのが、現実だからです。
ちなみに、プロの付添看護というのは、実例としてあるのかどうかわからないというくらいレアケースだと思います。個人的にはみたことがありません…。
付添看護費用:小学生以下のお子様の場合
付添看護費用が支払われるケースで最も多いのが、小さなお子様の通院の場合です。
具体的には、12歳以下の子供が交通事故をして、治療を受ける場合、付き添った近親者に対してという意味で、通院1日に対して2,100円、入院の場合は4,200円が支払われる、といった場合です。
大人のケースとは異なり、小学生以下の子供が一人で、病院や整骨院に行くことはできないだろうという前提からこういった規定になっているものと思われます。
ですから、中学生になれば、請求できなくなります(一般的に、中学生くらいになれば、自分で近くの病院にいけますからね)。
付添看護費用というのは、自賠責保険では定額で支給されるものです。
たとえ、お母さんが、子供の通院に付き添うため、お仕事を半日で切り上げ、その半日分の給料の損害がでたとしても、実費で請求することはできません。
なお、親子ともに、同一事故でケガをし、通院治療も同日に行っている場合であっても、自賠責保険は付添看護費用を支払うことになっています。自賠責保険が定型的なものだと言われる所以とも言えます。
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