春野行政書士事務所の
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2022.4.23
主治医の診察を受ける
交通事故後遺障害異議申し立て専門、行政書士の春野です。
今日は、主治医の診察をどのように受けるべきか、というお話しです。
「どのようにって、あの短い短い主治医の診察に何を注意したらいいのか」と思われるかもしれません。
しかし、主治医の診察は実はとっても大事なのです。
主治医「お体はどうですか?良くなってきましたか?」
被害者「まあまあです」
主治医「引き続き処方箋とリハビリを続けましょう。次回はひと月後に診察を受けてください」
よくあるやりとりですよね。
時間にして2,3分といったことも少なくありません。交通事故に限ったことではないかもしれませんが、病院での診察とは、重症でもない限り、このようにシンプルで淡白なものがありますね。
しかし!交通事故の被害者さんは、この短い診察を、こんなものだと考えたり、リハビリだけさせてくれたらいいよと言わんばかりに、すぐ終わらせるようなことがないように気をつけてください。
交通事故の被害者さんは、治療のことだけ考えるのではなく、後々の賠償の側面からも、不利にならないように気をつける必要があります。
診察を受ける場合、以下を毎回、きっちり医師に伝えたり、質問してください。
○ どこの部位が痛くて、どこの部位が改善してきたかを丁寧に伝える→ざっくり伝えない
○ 症状に大きな変化がないのであれば、別のリハビリや治療法がないか尋ねる→どうせ同じ治療だろうという先入観を捨てる
○ 改善していないのであれば、改善していないとはっきり伝える→曖昧さを排除する
○ 症状を裏付ける検査が必要であるかどうか尋ねる→検査を受けさせてもらいたいことを促す
普通、医師は、非常に多忙な毎日を送っています。患者さんが毎日、たくさん来られるため、診察がかなり淡白になりえることは、我々患者側からも容易に想像できます。
診察を受けたときは、医師はカルテに情報をおさめる訳ですが、患者側が曖昧に伝えたり、シンプルな中身しか伝えなかったりすると、カルテに記載される情報も同じく淡白になってしまいやすいです。ひどいケースだと、ほとんど何も記載しない、なんてこともあるかもしれません。
また、医師の「圧」に屈してしまう方もおられます。
医師の仕事は、ケガを治すため、また症状緩和のための医療的サポートをすることです。そのため、質問に圧が感じられる質問を受けることもあります
主治医「どう?もう3ヶ月くらいだから、そろそろ良くなってきたんじゃない?」
被害者「まあ、そうですかね…」
このように尋ねられると、大概の患者さんはそう答えると思います。「まだ症状が相当強いんだよな、でもなんか申し訳ないし、適当に答えておくか」と咄嗟に判断してしまうものですよね。
交通事故以外の治療でかかられているのなら、問題はないでしょう。
しかし、繰り返しますが、交通事故の治療を受ける被害者は、賠償面を忘れてはいけないのです。
賠償面を担当するのは、任意保険会社や自賠責保険会社です。
これらの保険会社は、賠償をするべきかどうかを判断するときに、主治医に照会するというのがスタンダードになっています。そしてその照会が結果を大きく左右します。
「治療はいつまで継続すべきだと考えているか」
「神経学的な所見はあるか」「画像所見はあるか」「後遺障害にあたるか」
そして「被害者の訴えはどうか」など、保険会社は、被害者であるあなたに尋ねることもありますが、主治医に尋ねた上での主治医の回答に重きを置きます。
主治医はどのように回答するか?それは、他でもないカルテ、です。
診察時に、被害者がいつもテキトーに答えてしまっていると、淡白な記載のカルテからそのまま照会文書に回答されることとなります。最悪のケースとしては、被害者本人がまだ辛い思いをしているのに主治医は「改善」を強調した回答をすることもあり得るのです。
だから、診察はとても大事なのです。
「上手に聞き出すのも、医師の仕事でしょ」
そう思われるのも無理はありませんが、医師といえども人の子です。多忙であればあるほど、素早く診察を済まさなければというプレッシャーを感じているのです。
ですから、主治医からシンプルに聞かれても、被害者(患者)が、自ら自身の状態を丁寧に、過不足なく説明することが必要なのです。
後遺障害異議申し立て 春野行政書士事務所